えんどう豆と砂糖だけで作り出す、きわめて素朴な京菓子です。
明治初めの頃、本家船はしやによって現在の五色豆が形作られました。
単純な素材から作り出す優雅な風味は秘中の秘として継承されています。
五色豆の発祥は今からおよそ500年前に遡ります。
当時の禅僧たちは厳しい修業の中にあって、いり豆に乾葉をからませ珍重していました。
それがいつしか御所の知るところとなり、有職の創意工夫を経て宮中文化の中で上菓子として発展するに至りました。
中国から持ち帰った貴重な砂糖をいり豆にからませた五色豆は、大宮人たちのあいだで大変な評判になったと文献が伝えています。
さらに時代を経て、千利休が北野大茶会をはじめとした茶の湯の席で五色豆を食したことから、五色豆は千家の茶道とともに大いに普及しました。
それが京都人の磨きぬかれた味覚に支えられ、今日にまで創意工夫がなされてきたのです。
幕末の志士、中岡慎太郎は当時の弊店と親しい間柄であり、あるとき郷里の高知・北川村の柚子を手みやげに持参したといわれています。
弊店の主はその芳醇な香気に魅せられ、なんとか五色豆に柚子の香りを秘められないものかと工夫をこらしました。
そして新鮮な果汁を包みこみ柚子香を作り出したのです。
やさしい匂いに添えたまろやかな風味は、今も北川村産出の柚子から作り上げられています。
京都・北野天満宮は有名な梅苑を有し、古樹より産出する梅は他の追随を許さないといわれています。
この梅を精整加工したものが梅泉です。
抑えた甘味と、醒めた舌ざわり、ふくいくとした繊細な香りはお茶受けに最適です。
五色豆の素朴な味と香りを、素直に包みこんだ福雪。それだけに単純な材料の選別こそが秘訣です。
砂糖はまろやかに、歯ざわりはやさしく、そして豆の粒の形状は一個一個厳しく精選します。
五色豆の心意気がこの一粒にこめられているのです。
京菓子のゆかしさは、味覚のみにとどまらず繊細な季節の視覚も大切な要素です。
賀茂之瀬は京の春をあらわし、芽吹きはじめた新緑の賀茂川に風情をあわせ、麗わしい喜びの季節を作り上げています。
慶事やご進物にどうぞ。
落穂は楠科の樹皮を乾燥して粉状にし、甘さをかぐわしい香りでくるんだ五色豆です。
京菓子は味わいに加えて香りがなによりも貴重な要素です。肉桂のもつ高雅な香りは、なつかしい京を思わせます。
700年の伝統に培われた宇治茶を使った五色豆です。 お茶の中でも抹茶は最古の歴史を有しています。数百年の歴史を誇る駒蹄影園から摘み取った新芽をからませ、五色豆の真骨頂を作り出しました。お茶席や来客のもてなしにどうぞ。